玩具店
初めてでしたら(2)
気がつけば下肢の衣服は寛げられていた。
「ああ…、そういえば、さっきの少し痛くありませんでしたか…?実はね、こういうの使ったほうがもっとイイと思うんですよ」
マットの上に両膝をゆるく曲げて立てて軽く開いた状態のまま、ぼんやりと綱吉は男の方を見た。
手には、小さなプラスチックのボトルのようなものが握られている。
相手が音をたててフタを開けると、とろりとした透明な、粘度の高い液がぽたりと落とされた。
フワリと葡萄のような香りがたつ。
それをそのまま綱吉の胸元や、局部に近い鼠径部に垂らされる。
「つめた…っ、」
「このシリーズ今結構若い一部のカップルの間で人気でしてね、フルーツやハーブの香りを模したローションなんですよ」
そんなこと聞いてないよ、とチラと思ったが、ヒチャと乳首に伸ばす相手の手の動きにその考えもどこかへ飛ぶ。
「これは、グレープの香り。ちょっと本物っぽくていい香りでしょう?」
「っア!!あ!」
口では爽やかな商品の宣伝をしながらも、指はえげつなくぬらぬらと乳首をこねるように動かしている。
にる、つる、と滑りがいいので力が調整されずに、ダイレクトに強い刺激が綱吉を攻め立てる。
もっともこの男ならば、特に手加減などしないのだろうが。
「っああ……、いい反応ですね…ローションを使うとね、より気持ちよくなれるんですよ。ほら、さっきと違う…」
オッドアイを悦にしならせながら、ローションに塗れた乳首に再びローターを近づける。
先ほどよりも過ぎた快楽を予期して、怯えたように綱吉は首を横に振った。
ビィーーとモーター音を最大にしたローターが、非情にてらてら光る乳首へと当てられる。
「ぃいいぃあああ!!!ひいぃっ、ぃああっ!」
首を激しく横に振って、不規則に身体を跳ねさせながら綱吉は後ずさって逃げようとするが、膝の間に相手が足を割りいれて腰をホールドするように正面から捕らえられた。
こうされると綱吉は逃げられず、ただビクンビクンと背中と脚を跳ねさせることしかできない。
「くは……っ、すごいですよねぇ、こんなに小さなローターなのに…」
相手は愛おしそうに綱吉の背中から首にかけて腕でささえると、その頸部に頭を落とし唇を寄せた。
「ねぇ…?こんなになっちゃって…」
食むように頸部に口づけると、はっきりそれと判るような鬱血痕がつけられる。
視線の先は、綱吉の張り詰めて苦しそうにしている下肢である。
「そうそう…」
未だ振動を続けるローターをマットの上に落としてから、相手はおもむろに綱吉の下肢へと手を伸ばした。
「っ!!!」
はちきれそうに下着を押し上げているその膨らみをそっと撫でられて、綱吉は目を見開いて仰け反った。
それを満足そうに見やってから、相手は可愛がるかのように綱吉の顎にちゅ、ちゅ、と口づけを落としながら告げる。
「…ちゃんと、達きそうなときはイくって言ってくださいね。ああ、僕の名前を呼んでもらうっていうのもいいですね」
やわやわと下肢の膨らみを下着越しに撫でながら、相手が小さく頷いた。
「僕の名前はね、むくろ、って云うんですよ。亡骸の骸。むくろ、ですよ。言ってみてごらんなさい」
間接的な刺激がもどかしい。先ほどの乳首へのローションローター責めで、下着にはジワリと透明な液が染み出していた。
「ほら…」
親指でそっと唇をなぞられる。微かにゾワ、とした感覚に背筋を震わせる。
連続的だが間接的な陰茎へのまどろむような刺激。震えるような唇への刺激。
脳髄がくらりと揺れたような気がした。
「む…、くろ…」
「よくできました…」
うっとりと微笑んだ骸が、そっとローターを手にした。
ヴィーー、と、再びモーター音が聞こえる。
ぐ、と鼠径部にローターが押し付けられたとき、正気に戻ったかのように綱吉は目を見開いた。
徐々に強度が強くされる。凶悪なまでの一番強いモーター音が、綱吉の耳に響いた。
「っだ、駄目!駄目!!!」
(そんなのを今当てられたら……!!!)
「ックふ、駄目じゃなくて、」
睾丸をローターと一緒に包み込むようにあてられ、裏筋から亀頭に向かってローターを押し付けるようになぞられた瞬間、
(つよ…――――ッ!!!)
「イイ、でしょう?」
「―――――ッ!!!!!」
強すぎる快楽に視界が真っ白に染まり、脳内が白くスパークするような感覚に襲われて、
まるで絶命するように白く剥いた目を天井に向けて、
綱吉はどろりとしたものを下着の中で吐き出した。