ひぐらし「綿流し編」ダブルパロ  




小ねたにするはずが長くなったので セイヤとあげてみる
!ひぐらしとは、ギャルゲーに見せかけたような、正解率1%というサスペンスホラー(連続殺人)サウンドノベルゲームみたいなものです。
これからひぐらしゲームやる予定の人は、ネタバレになると思うのですみません、自己判断でお願いします!

魅音(?)→骸
圭一→綱吉
二人は友人同士 だった

※何かまぁ色々あって、綱吉(圭一)を地下にある拷問室で五寸釘を指に打ち付けて拷問(コロし)しようとしてる骸(魅音) 二人はもともと友達
!クレイジー骸、軽く残酷かもしれない雰囲気 あまり救いは無いです そして色々事情が隠されているため綱吉(ていうか話自体)が相当電波に見えますが注意!
残念ながらエロくはないです




簡素な木の板に生々しい鉄の拘束具がとりつけられている台に大の字に固定されたまま、震えながらもギッと綱吉は骸をにらんだ。
「お前は誰だよ…!」
「はあ?六道骸ですよ」
思いっきり皮肉ったように、骸は盛大に顔をゆがめる。
しかし綱吉は、毅然と言い放った。
「違う」
ひそやかに、骸の口の端がゆっくりと吊り上げられる。
「ほう…」
くゆるように拘束台に膝を乗り上げて、骸は上から綱吉を覗き込んだ。
「じゃあ僕が骸でないのだとしたら…、誰なんですか?」
拷問までの甘やかなひととき、どんな戯言をぬかすのかと今にも笑い出しそうな勢いで顔を笑みに形作る。
しかし綱吉の視線は、まっすぐに骸を見据えていた。
「鬼だ」
「ほう?」
面白いことを、というように笑んだまま軽く目を見開く。
「お前は骸さんなんかじゃない!!さっきまで一緒だった骸さんを返せ!!!」
咬みつくように身をよじりながら叫ぶ綱吉に、小さく吐息で笑う。
「ちょっと大丈夫ですか?恐怖で頭がおかしくなっちゃったんじゃないですか?」
「だまれ鬼!!!」
わからないけれど、こんなのは骸さんじゃない、
俺が信じた本当の骸さんは、まだ絶対いるはずなんだ!!
綱吉は必死に骸に呼びかけるように、ぎゅっと目を瞑って叫んだ。
「骸さん!鬼なんかに負けるな!!骸さんーー!!」
「クハハハハハ!!!」
狂ったようにがむしゃらに叫びだした綱吉に、骸がおかしくてたまらないという風に上を見上げて哄笑する。
「クハハ…」
「どうして…」
なおも笑いを続ける骸に、絞るように微かな声が聞こえた。
「どうして…、こんなことに…」
今まで色々あったけれど、なんとかうまくいったと思ったのに。
やっと、さっきの話し合いで通じ合えたと思ったのに。
俺はただ、骸さんたちと一緒に幸せな日常を過ごしていたかっただけなのに。
どうして、どこから、こんなふうに。
歯車がはずれたように、狂ってしまったんだろう。
遣る瀬無さのあまり、綱吉の目尻から涙がにじむ。
「骸さん……  …く…っ、 どうして…」
綱吉の上に馬乗りになるように座ったまま、静かに骸が視線を落とした。
「綱吉君…、どうしてか知りたい…?」
ゆっくりと、顔を近付けるように下ろしていく。
はらり、骸の濃青の髪が一筋垂れた。
「僕の中に鬼が宿ったのは随分前。
その鬼は僕を蝕み凶行に駆り立てようとしたけれど、僕は理性でおさえつけた」
祈るように目を閉じて語る骸に、思わず瞬きも忘れて綱吉は聞き入った。
随分前、に、…?じゃああのとき俺と笑って話してた骸さんは…
「鬼はそれでおさまりどこかへ行ってしまったと思っていました。
でも本当は違った。僕の中で眠っているだけだったんです」
綱吉に覆いかぶさるように、骸が頭を落としてくる。
「その鬼は小さな事をきっかけにまた目覚めてしまった」
その顔を見て、綱吉は戸惑った。
だって、彼が―――
「それはね綱吉君
君が元凶なんですよ」
なんでもないような顔をしているのに、涙が。
パタリと、綱吉の頬に骸の涙が落ちた。
(俺が 、 げんきょう――?)
「覚えていますか?先々週の日曜日のこと」
先々週の日曜日――?
とても普通の日だった。いつものように骸さんたちと居て――
「あのとき――――ったら、すべては狂いださなかったかもしれない」
囁くように呟かれたその掠れた声に、綱吉は目を見開いた。
どうして。どうしてそんなことが。きっかけに。
「うそ……、だろ…?」
信じられないといったふうに呆然と呟く。
「綱吉君は理解できなくて当然。けれどね綱吉君、そこからドミノ倒しみたいにパタパタといろんなものが倒れてしまって、収拾がつかなくなってしまった」
「あ……」
そこで初めて思い至る。
いわれて初めて思い返せる場面がある、
洪水のように記憶がいくつもいくつもフラッシュバックする。
あんなにも骸さんは助けのサインを出していたじゃないか、千種さんに助言だってもらったじゃないか!!
俺はそれに 気付かずに 勘違いばかりして
(俺は、 今日、 謝ることがあるといいながら)
「うっ うぅうう」
(その事を一言も謝ってないじゃないか――――!!!)
「ぅああああああ!!!」
綱吉は慟哭した。
取り返しのつかないところまできてしまった。
本当に、
――本当に?


切なそうにゆがめられていた骸の顔が、すっと冷気を増して表情を消した。
そうして、先ほどと同じようにニィと口の端があげられる。
「さあ いいですか?そろそろ始めますよ」
五寸釘と、金槌を手に。ゆっくりと上体を起こす。
ジワリジワリと目的の指に釘をあてようとしたとき、
「それで骸さんの鬼がおさまるなら」
きっぱりと聞こえた声に、骸の指が止まった。
「君本気で言ってるんですか?」
何をヒーロー気取りな。
ハッ、と馬鹿にしたように笑う。
綱吉はこれから起こるであろう惨劇に、本当は震えて気を失いそうなほど恐怖を感じている。
けれど。
――けれど。
綱吉は震える息を吐いた。
これは、自分にしか決着がつけられないんだ。
「そうだよ…そのかわり二つ約束して。
俺を気が済むまで痛めつけたら、他の人質は許してやって。
もう一つは気が済んだらお前は消えて…その体を、骸さんに返してやるんだ」
骸は目を見開いた。
「君って人は…命乞いをするとかそういう考えは無いんですか?」
馬鹿じゃないんですかと、笑い出しそうな顔をする。
綱吉は、ふにゃっと顔の力を抜いた。
「…約束、二つじゃなくて三つにしていい?三つ目は俺を殺さないでっていうやつ」
冗談を告げるみたいに軽く告げられたそれに、綱吉を悪戯っ子のように覗き込んで同じように軽く弾む声で骸は告げる。
「最初に二つって言ったでしょう?だからもう駄目ですよ」
「…はは、残念…」
お互いの目を覗き込んだ瞬間、不意に空気が和んだような気がした。
こうやって話している声色の調子も雰囲気も、つい何日か前と変わらないものなのに。
何だかもう、こんな真剣なやりとりをしているのが馬鹿らしくなってきた。
何やってるんだよって、何いつもみたいにタチの悪い冗談いってるんだよって、
お前またバカやって、って。
「くはは…、」
「は…、はははは」
ひとしきり二人で笑った後、骸は顔を上げた。
「…多分僕は約束を守りませんよ?鬼ですから」
諦めたように綱吉が笑みを崩す。
「その時は仕方ないよ」
本当は約束なんて、もういいんだよ。
「さあ…、やってよ」
ギュウウ、と目を閉じて身体に力を入れる。
怖くないなんていったら嘘になる。本当はそのことを考えたら、叫びだして暴れまわりたいほど怖い。
けど、これは。
やらなきゃいけないことのような気がしたから。
できるなら、早めに気絶したい。ああ、これを言えばよかったかな。
できるだけ違うことばかりを考えようと、必死に目を閉じて穿たれる刺激を待ち続ける。
―――しかし、一向に釘は打たれない。
そのかわりに、コト、という音と頬にフワリと触れる感触がして、綱吉は思わず目を開けた。

「綱吉君
三つ目の願いだけは、聞いてもいいですよ」

見ると骸は、ひどく優しい表情をしていた。
今までだって滅多に見せたことのないようなやわらかな表情で、一瞬言葉も忘れ綱吉は呆気にとられる。
「――え?」
親指で綱吉の頬や耳を、いたわるように愛撫しながら、やわらかなトーンで骸は言葉を紡ぐ。
「一つ目の願い、人質を救う事。
これはもう無理です。彼らは鬼が殺してしまう、もう決められた事だから止められない。
そして二つ目の願い、この体を六道骸に返す事
……これも、もう無理」
羽が触れるようにやさしく綱吉の頬からおとがいにかけて指をすべらせる。
その柔らかな触れ方の、先ほどまでとのギャップに、そして骸の言葉に、戸惑ったような顔をして指を視線でたどる。
「今日を境に六道骸が戻ってくる事は無い。
今日以降僕の姿があったとしても、それは僕の姿をした鬼ですから…」
しずかに諭すように告げられるそれに、綱吉は必死で首を横に振ろうとした。
「そんな事言うなよ!!もう戻ってこないなんて……、悲しい事言うな!!」
目を伏せた骸は、すっと視線と指先を出入り口に滑らせた。
「聞こえますか?あの音…」
耳を澄ませると、かすかに
ドォン…
ドォォン…
という音が響いている。何か大きなもので扉か何かを打ち付けるような。
「警察が踏み込もうとしています。
帰りが遅いから君と一緒にいたあの男が呼んだんでしょう」
ヂヂ…、という音をさせて、先ほど持っていた金槌のかわりに骸が手にしていたのはスタンガンだった。
拷問はやめたのだろうか。あれほど楽しそうに釘と金槌を手にしていたのに。
骸…、お前…
「綱吉君にはしばらくお休みしてもらいます。
すぐに警察が来てくれるから、ちょっとの我慢ですよ」
五寸釘ではないにしても、スタンガンも相当の衝撃だ。
綱吉は最後の覚悟をするように、強く強く目を閉じた。
今度こそ、痛いのが来る―――!!
しかしきたものは。
顔にかかるフワリとした髪の毛の感触、肩におとされたあたたかい骸の頭だった。
「ごめんなさい…骸を汚してしまって」
懇願されるように擦りつけられた額に、綱吉は苦しそうに眉を寄せた。
骸の泣き声が聞こえた気がした。
「何があっても俺の中の骸さんは変わらないから」
俺だけは骸さんを信じつづけるから。
骸さんは、ちゃんと居るから。
「でも忘れてください…
今日以降もし僕を見かけても、近寄らないでくださいね。
それは僕の屍に取り憑いた鬼なんですから」
信じてくれてありがとうと、言われたわけではないのに。
頬に落ちてくるあたたかい涙と、今まで見たこともないような辛さと苦しさと、喜びがない交ぜになったような骸さんの表情が、
ありがとうというお礼と、さようならというお別れの挨拶を言っているように見えた。
その顔を最後に、
綱吉の意識は、
あてられたスタンガンから瞬間的に流された電流によって、
ブラックアウトした。

骸さん…

むくろさ ん…、





昭和58年6月
××県××市○○村で連続失踪事件が発生
容疑者は六道骸(1×歳)
○○村住人5人(××××、××××、××××、××××、××××)を拉致監禁して殺害した疑い

23日午前
六道邸前を巡回していた警邏車両は
邸内よりの悲鳴を聞き緊急突入

失踪中の容疑者の親族(××××)と
クラスメート2名(沢田綱吉、××××)を保護した

六道邸内の離れ地下奥拷問室からは
失踪者四人の毛髪・皮膚片・血液などを発見
ただしその遺体は依然発見されていない

また近年の連続怪死事件への関与も捜査が続けられているが
六道骸が直接または間接的に関わったという証拠は
未だ発見されていない



容疑者は現在も逃亡中



<非常にすんません、ここで終わらせてもらいます…>

以下ひぐらし本編の今後の話の展開ネタバレ反転↓
組み込めなかったかなしさよ


このあと、逃亡しているはずの骸さんはフラッと綱吉のもとへやってきます。
そして綱吉は、問題の休日に、渡すはずで渡せなかったものを骸さんに渡そうと、
ずっとずっと悔やんでいたのでたまらず外に出て骸さんに会います。
一緒に笑って遊んでいたころと変わらない調子で笑みを見せる骸さんに、
本当に心から謝って、会えたのが嬉しくて、泣きながら目的のものを綱吉は渡そうとします。
本当は骸さんの様子が途中から少しおかしくて、震えながら
「ぼっ、僕は…っ、  もう駄目です…
僕の迎えはすぐ後ろまで来てる
くは…  くはははは」
とあきらかにおかしい雰囲気で何かを口走っているのに、それに気付かずに「体調が悪いのだ」と勘違いして骸さんに綱吉は駆け寄ります。
そうして、例の渡したくても渡せなかったものを渡そうとするのです。


しかしそれは受け取られることはなく、綱吉は骸さんによってナイフで腹部を刺されて
”そんな  会えたと思ったのに”
と、その場に倒れます。
朦朧と涙を流し意識を失っていく中、綱吉は
「今日以降僕を見かけても近づくな」と骸さんが以前言った言葉を思い出していました。

そんな綱吉の前に立って、骸さんは
「僕の殺したい人間はこれで全員!!!!
ぐげげげげげげげげげげげ!!!!」
と人間であることを疑うほどに吼えるような哄笑を残して、再び骸さんの消息は絶たれます。


しかしながら、かろうじて一命を取り留めて病院で目を覚ました綱吉のもとを訪れた刑事の情報によると、
その六道骸はとっくに、綱吉をスタンガンで気絶させた日に井戸に転落して死んでいた…
つまり、それ以降に骸に刺されたという綱吉の話は起こり得ないのだ、
あの時骸が存在していたのはまったくおかしい話なのだ、
じゃああれは一体何なのだ?
という、
謎が残されまくったお話となります。
「既に死んでいた」人間の話はそれだけではなく、
綱吉のもとを訪れた刑事は
「今回の事件 死人が歩き回りすぎなんですよ」
と漏らします。
死人が引き起こし、死人が幕を下ろす事件。
けれど一ついえるのは、この事件に関与しているのは幽霊がどうとかいうフワついた話ではありません。
まぁ本当の骸さんだったら幻覚でどうにでもなるでしょうけどね!便利だなァあの人!!(笑)(存在がオカルトだ)
(他にも色々情報はあるのですが、組み込まれ方が神すぎて全部拾えません)


救いが無いのとね、切りどころに迷ったから(あと骸さんの「ぐげげげ」がどうしてもイメージしにくかったから…/笑)泣く泣く変なところで区切っちゃったんでつ、すんません
でも謎は好きなので(話を読むとき特に考えまくったりしないので、推理ものをもともと見る人ではないけれど、
ひぐらしの場合は推理すること自体が不可能に近い構成のされ方なので逆に楽しめた)、ひぐらしは正直楽しかったです。すんません。
長く語りすぎましたね、お付き合いいただきありがとうございました、失礼しました!



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